シバタナオキ/元・楽天株式会社執行役員、東京大学工学系研究科助教、スタンフォード大学客員研究員。東京大学工学系研究科博士課程修了(工学博士、技術経営学専攻)。スタートアップを経営する傍ら、noteで「決算が読めるようになるノート」を連載中。経営者やビジネスパーソン、技術者などに向けて決算分析の独自ノウハウを伝授している。2017年7月に書籍『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』(日経BP社)を発刊。

シバタ おっしゃる通りです。

藤野 こういった現状を裏付ける調査結果も出ています。よくある従業員満足度の統計調査です。

 自分の会社に対する「組織貢献・愛着度」という調査で、日本は世界28ヵ国のうち最下位の31%でした(2012 KeneXa High Performance Institute「従業員エンゲージメント調査」より。ちなみに米国は59%、ドイツは47%)。

 つまり約7割もの日本人が、会社に貢献したいと思っていないし、愛着を持っていません。「日本人は勤勉」「日本の会社は家族的だ」などとよく言われますが、数字を見るとそんなことはないようです。

 この類の他の調査結果で見ても、日本人の所属する会社に対する満足度合いは非常に低い。私がある地方都市のセミナーでこの話をしたら、「藤野さん、私の周りには会社が好きだなんて人は1人もいません」と言ってきた人もいるくらいです。

シバタ 「愛社精神」という言葉がありますし、日本人は会社が大好きなのかと思っていました。

藤野 それは「仕事=組織に属すること」と考えている人たちにとって所属先から離れるのが不安なだけであって、実際には「愛社」なんてしていないんですよ。

 誰だって、嫌いな会社のために頑張って仕事しよう、成果を出そうとは思いませんよね? となれば当然、決算やKPIの数字も気にならない。

シバタ 嫌いだけど所属していたいというのは、本当に変な話ですよね。

藤野 ええ。しかも、飲み屋で会社の文句ばかり言っているような人たちの方が、主体的に仕事をしている人たちより社歴が長かったりするわけです。面白いことに。

シバタ 同じ質問を、「自分の勤め先が伸びている」という人たちにしたら、結果はどうなるんでしょうね? 会社全体が大きく伸びている時って、仕事は大変ですけど楽しいはずで、満足度も上がるのではないかと。

藤野 それはあると思います。毎年「働きがいのある会社ランキング」を出しているGreat Place to Workが、世界50ヵ国で行っている従業員意識調査の結果だと、従業員満足度の高い会社には大きく成長している会社が多いそうです。