トヨタ友山茂樹副社長率いる
コネクティッドカンパニーが象徴

 トヨタの本気度は、CES発表以前の組織改革や新事業への投資戦略からもうかがえる。2016年以降、AI研究やEV関連のアライアンスやM&Aのほか、プラットフォーム上のミドルウェアやサービス技術関連企業のM&Aにも積極的だ。2017年11月に副社長に抜擢された友山茂樹氏が率いるコネクティッドカンパニーとその周辺の動きが象徴的だ。

 たとえば、シェアリングカーサービスを実現するために必要な技術として、いかに不特定多数の人を認証し、キーロックを制御するかという課題がある。もちろん、GPSと車両情報を利用した運行管理システム、決済システムなども重要だが、特にクルマのキーロックは防犯上の問題から、サービス事業者やクルマの管理事業者は、イモビライザーやキーの情報を、利用者(ドライバー)やサービスプロバイダーに伝えたり、クラウドに保管したくない。キーロックまわりのシステムはそのままで、利用者のカードやスマートフォンで安全に操作できるようにしたい。トヨタはすでにこの周辺技術を持った米国企業(Getaround社)とのアライアンスを発表しており、既存のクルマに大幅な改造を施さずカーシェア可能なクルマにできる。

 他にも配車アプリではGrab社との協業を発表している。CESではアマゾン、ピザハット、Uber、Didi(滴滴)などとのパートナーシップも発表された。決済関係ではもともとトヨタファイナンスといったグループ企業も持っており、自動車以外への展開リソースに事欠かない。それ以前に、トヨタは東京都内でタイムズ24が展開する小型EVのシェアリングサービスにHa:mo、i-ROADとT-Connectアプリで連携している。これは、e-Palette ConceptとMSPFを具現化しているもので、逆にいえば、これらの取り組みが、トヨタが描くこれからのモビリティビジネスの原型といえる。

 本格的なMaaS時代に「所有するクルマ」と「利用するクルマ」のシェアが逆転したとしても、全方位戦略の準備はできているというところだろう。

既存プラットフォーマーを牽制

 ではトヨタは、MaaS時代の覇者をどの程度本気で目指しているのだろうか。

 先に結論だが、所有より利用がメインとなるMaaS時代が本格的に立ち上がり、トヨタがそこでの覇者を本気で目指しているとは思えない。トヨタのこれまでの戦略は、古くは80点主義であり、時代を築くというより時流に乗るスタイルだ。自らフロンティアたることは避け、市場が成立してから巨大な生産力と販売力で一気にシェアを獲得する戦略はお家芸だ。もちろんそのための調査、開発、準備は怠らない。入念な用意と絶大なシェアがあるからこそ成功する手法であり、トヨタ以外では成立しにくい戦略だ。