中国では旧暦の正月を「春節」と呼び、盛大にお祝いする。2018年は2月15日が大晦日に当たり、この日から7日間の大型連休となる。ところが、このめでたい春節から逃げる道を選ぶ中国人は少なくない。そして、その逃避行の先として日本を選ぶ人々が多い。なぜだろうか。(日中福祉プランニング代表 王 青)
中国では、2月15日の大晦日から旧正月(春節)が始まり、7日間の大型連休となる。
昔からの中国の伝統では、春節イコール家族の団らんである。都会へ出稼ぎに行っている人々にとっては、年に一度の春節に、田舎で首を長くして待っている親や子どもがいる家に帰ることが、異郷で頑張れる原動力となっている。
前倒しで帰る人も多く、春節の前から一斉に「民族大移動」が始まる。特に、少しでも多くおみやげを買うために、交通費を節約しようと原付バイクで冷たい風や雨に耐えながら2、3日がかりで家路を急ぐ数十万人の「農民工」の姿は、毎年のように報道され、人々の涙を誘う。
春節の「民族大移動」を
迷惑がる人々
もっとも、経済の発展とともに時代は変わり、これまでの伝統的な春節も大きく様変わりしている。最近は「恐帰族」(帰省恐怖症候群)という新しい言葉が生まれている。つまり、帰りたくても帰れない人が増えているのだ。
その理由はさまざまだ。例えば臨時出費の問題。中国の場合、春節は親戚や友人の間を互いに訪問し、新年の挨拶をする習慣がある。その際、訪問先に子どもがいれば、お年玉をあげるのが“鉄板”の風習である。生活が豊かになるにつれ、お年玉の「相場」も以前より上がってきた。そして時にお年玉は、会社の人間関係や友人同士の間での“お礼”を表現する機会になることもあるため、多い場合は5000元〜1万元(約10万円〜16万円)にも達する。ちなみに、一般の相場は500元~1000元ぐらい。お年玉だけでも大変な出費だ。