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社長退任を回避か?
新生銀行が本店売却に奔走する理由

週刊ダイヤモンド編集部
2008年3月17日
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 崖っ縁に立たされた新生銀行が、虎の子である資産を切り売りし始めた。

 新生銀は、東京都千代田区の本店ビルと品川区の事務センターを、今月中にも米証券大手のモルガン・スタンレーに売却する方針を固めた。売却額は1000億円程度。現在、最終調整中で、今月半ばにも最終決定する見通しだという。

 本店までも売却するという、なりふり構わぬ姿勢に打って出たのは、業績の悪化はもちろん、ティエリー・ポルテ・新生銀社長の“首”が飛びかねない事態に追い込まれているからだ。

 新生銀は今年1月末、連結業績予想を当期利益ベースで、それまでの620億円から500億円に下方修正した。

 サブプライム関連の損失が、2007年の4~12月で228億円までふくらみ、さらに追加損失が生じる見込みであることが主な要因だ。

 となれば当然、銀行単体の業績も修正されて然るべき。残すところ3ヵ月しかない同決算で、単体の当期利益は175億円と業績予想の4割程度にしか達していない状況だからだ。

 だが、新生銀は事情があってそれを据え置く。この事情こそがポルテ社長の“首”と深いつながりがあったのだ。

 その事情とは「3割ルール」。公的資金を注入された銀行が、経営健全化計画に盛り込んだ銀行単体の当期利益目標を3割以上下回った場合、金融庁が行政処分を発動するというものだ。

 しかもである。2期連続でこのルールに抵触した場合、経営トップは退任を求められる。新生銀は2007年3月期にすでにこのルールに引っかかっており、ポルテ社長には後がなかった。

 業績の悪化により、2期連続で3割ルールに抵触する可能性が濃厚となったため、あえて単体の業績予想は見直さず、あわてて資産売却に動いたというのが真相のようだ。

 しかし、今回の資産売却によって、新生銀に残された優良な資産はほとんどなくなる。たとえ今期、ポルテ社長の首はつながったとしても、来期以降も苦しい台所事情には変わりなく、難しい舵取りが続くことは間違いない。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 田島靖久)

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