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出口治明の提言:日本の優先順位

31年ぶりの貿易赤字への転落は
どのような警鐘を鳴らしているのか

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]
【第37回】 2012年2月14日
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財務省は1月25日、2011年分貿易統計(速報)の概要を発表したが、それによるとわが国の貿易収支は約2.5兆円の赤字となった。赤字になったのは、実に31年ぶりのことである(通関ベース。なお、国際収支ベースでは48年ぶりの赤字転落となる)。

赤字転落の原因は明白

 赤字転落の原因は明白である。まず、輸入が前年より7.3兆円(伸び率ではプラス12.0%)増えたが、そのうち、輸入全体の約3分の1を占める鉱物性燃料が4.4兆円増えている。その内訳は原油および粗油が2兆円、液化天然ガスが1.3兆円となっているが、前者は数量が減っているので、原油価格の高騰が原因であり、後者は数量も伸びているので、発電用燃料の需要増に応えたものであろうと推察される。

 前回の赤字が第2次オイルショック後の1980年であったことを考えてみると、わが国の貿易収支が赤字になるのは、原油価格の高騰、もしくは鉱物性燃料の需要増が引き金になっていることが窺える。

 一方、輸出の方も、1.8兆円(マイナス2.7%)減少した。わが国の輸出構造は、輸送用機器、一般機械、電気機器の3者がそれぞれ2割前後を占めているが、2011年は一般機械が0.5兆円(プラス3.7%)増加したものの、輸送用機器が1.3兆円減少し(マイナス8.0%)、また、電気機器も1兆円(マイナス8.3%)減少した。ただし、輸送用機器の太宗を占める自動車をみると、数量がマイナス7.1%、また電気機器の中で最大の輸出品目であるICの数量もマイナス7.4%となっているので、輸出が減少した主たる要因は、価格ではなく、主力品目の数量が伸びなかったことによるものと推察される。

 以上、述べてきたわが国の貿易構造を考えてみると、繰り返しになるが、貿易収支が赤字になるか黒字になるかのポイントは、鉱物性燃料の価格がどうなるか、また、国内の鉱物性燃料に対する需要がどうなるか、という2点に大きく依存していることが理解されよう。そして残念なことではあるが、前者はまったくわが国ではコントロールができないという事実を押さえておく必要がある。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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