「少ない情報でズバズバ決断する人」がハマる意外な落とし穴写真はイメージです Photo:PIXTA

ビジネスにおいて迅速に正しい意思決定をするには、どうしたらいいのだろうか。ビジネスリーダーの多くは「少ない情報で素早く」判断を下すことができるはずだと思いがちだが、実はそれは誤解だということが最新の研究で明らかになった。起業と経営のエキスパートである著者が、意思決定の正解を伝授する。※本稿は、川口荘史『ビジネスリーダーのための意思決定の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

論文で明らかになった
意思決定における多くの“誤解”

 意思決定にまつわる情報に関しては、多くの誤解があります。情報と意思決定については、『SIMPLE RULES』でも知られるキャスリーン・アイゼンハート教授の論文(K.M.Eisenhardt (1989).Making Fast Strategic Decisions in High-Velocity Environments. The Academy of Management Journal,Vol.32,No.3,pp.543-576.)で、次のような結論が導き出されています。※清水勝彦「意思決定のスピードを決める意外な要因 スタンフォード大学 アイゼンハート教授の論文を読む【1】」(2013年4月18日)日経ビジネスオンライン」より

・情報を広範に集めないほうが早い意思決定ができると思われているが、実際は多くの情報を活用している企業ほど意思決定が早い

・多くの案を考えないほうが早い意思決定ができると思われているが、実際は多くの代替案を検討している企業ほど意思決定が早い

・経営者が1人だけで決めたほうが早い意思決定ができると思われているが、実際は「アドバイザー」を活用している企業ほど意思決定が早い

・対立意見がないほうが早い意思決定ができると思われているが、実際は対立意見を出し、それをうまく解決する企業ほど意思決定が早い