その2:温度を「温→冷」にする

 人は太陽が沈むと体温が下がり、身体が眠る準備を始めることを覚えておこう。概日リズムの一環として、体温は夜になると自然に下がるのだ。

 暑すぎる暖房などはこれをさまたげる。しかし、いくつかの抜け道を使えば、家庭で生物学的欲求に合わせた環境づくりをすることは可能だ。

 最初に、当たり前のことかもしれないが、掛け布団が暑すぎず、寒すぎないことをチェックしよう。温かい布団をかけてベッドで丸まりたいのは当然だが、いったん身体の温度がなじんでしまうと、過熱状態になってたっぷり汗をかいてしまい、睡眠サイクルから脱線する可能性がある

 布団から片足を出して眠ればいい、と思うかもしれないが、これは要注意だ。多少の効果はあっても、その足に(少しとはいえ)余計な意識が向くので、最終的には眠りがさまたげられ、睡眠が持続せずに途切れてしまう。湯たんぽや電気毛布の使用も、基本的に避ける。手足がかじかむぐらい寒い部屋や、あなたがとくに寒さに過敏なタイプでないかぎり使わないこと。

 寝室を涼しく(「寒く」ではない)保つことが大切だ。

 冬場でも、眠るときは寝室の暖房を切ること。温かいシャワー(熱すぎない温度に)を浴びて体温が少し上がっていれば、涼しいベッドに入ったときに、昼間から夜への気温の変化を身体に疑似体験させられる。

 夏場は、昼間に寝室を換気しつつもカーテンやブラインドを閉め切っておくことで、寝室を他の部屋よりも涼しく保つようにする。部屋にエアコンがある人は、暑い夜には眠る前に部屋を涼しくする。水を入れて凍らせたペットボトルのうしろから扇風機を回すという手は、エアコンがない人でも使えるだろう。

 ベッドに入る直前にシャワーを浴びるとよく眠れる、という人は多い。清潔な状態でベッドに入るほうが心地いいからだ。しっかりシャワーを浴びる必要はなく、さっと流すだけでオーケーだ。試してみて、効果的なら取り入れてほしい。この章のアドバイスのほとんどは、自分に効果的な方法を探すためのヒントだと思ってほしい。

(本原稿は『世界最高のスリープコーチが教える究極の睡眠術』より抜粋して掲載しています。この他のさまざまなルーチンについては、ぜひ同書を参照してほしい)