誤解4
「1万時間勉強すれば英語は身につく」という誤解

「何時間勉強すれば英語ができるようになるのだろうか?」

 そんな疑問を持つ人は多くいるでしょう。これから自分の大切な時間を投入するのだから、当然の思考です。
 しかし私は、このような質問には「あと何時間学習すればよいのか、という発想をしないようにしてください」とアドバイスします。現に英語学習で成果を出す人は、そういう発想をしない人が多いのです。
 そもそも私たちは、中学・高校などで英語の授業を受けてきました。そこで費やした英語学習の時間は何千時間という膨大な時間です。それなのに現実には、同じように授業を受けてきたにもかかわらず、英語ができるようになる人と苦手な人に分かれます。
 1000時間、2000時間と英語を勉強してきても、英語ができる人とそうでない人がいる。「何時間英語を学ぶかどうか」は成果には直結しないのです。つまり「◯時間勉強すれば英語ができるようになる」という発想自体が間違っているのです。

これをやればOKというものではない

 話は変わりますが、よく若い人から起業のアドバイスを求められることがあります。「どうしたら会社を経営することができますか?」「将来会社を上場させるにはどうすればいいでしょうか?」……このような質問に対して「これをすればかならず成功する」という答えはありません。
 成功者の代表例として、スティーブ・ジョブズ氏の言葉に目を向けてみましょう。ジョブズ氏はスタンフォード大学で行なった有名なスピーチの中で、以下のように語っています。

The only way to do great work is to love what you do.
(仕事で成果を出す唯一の方法は、自分の好きな仕事に取り組むことだ。)

 これは、これから世の中に出ていく学生たちに、ビジネスにおける成功の秘訣を語ったものです。ここで「好きなことに取り組みなさい」という抽象的なアドバイスをした理由は、結局ビジネスは「これとこれをやればかならず成功する」というものではない、ということでしょう。
 英語に話題を戻しましょう。
「あと何時間」という発想は「質」を疎かにして「量」だけを追い求めてしまう悪循環を生みだします。「あといくつ単語を暗記したら英語を話せるようになるか」という発想も同様です。英語コミュニケーションは複合的で、単語を知っているかどうかだけで測れるものではありません。
「あと500時間勉強したら英語はできるようになる」「あと500個単語を覚えたら日常会話に困らなくなる」といった発想に逃げたくなる気持ちはわかります。しかし、英語を身につけるためには、このような発想の転換をすることがとても大切なのです。

point 「あと〇時間」「あと〇語覚える」といった発想を捨てる