今月2日、リニア中央新幹線の工事をめぐる談合事件が、とうとう大手ゼネコン幹部らの逮捕に発展。ゼネコン業界に衝撃が走った。
「まさか逮捕に踏み切るとは思わなかった。見せしめとしか思えない」と大手ゼネコン幹部は言う。
見せしめと断じるわけは、東京地検特捜部により独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕されたのが、談合に関わったとされる4社のうち、容疑を否認する2社、すなわち大成建設と鹿島のリニア担当者だけだったからだ。
「到底承服致しかねる。嫌疑をかけられている内容は独禁法違反に該当しない」
逮捕という事態に、そう地検との対決姿勢をあらわにした大成に限らず、ゼネコン側には談合という意識は希薄だ。談合を認めた清水建設も社内弁護士が独禁法の課徴金減免(リーニエンシー)制度の活用を勧め、不承不承ながらだったという。4社以外のゼネコン幹部は心情をこう代弁する。「例えるなら、時速100キロ制限の高速道路を105~110キロで走っていたら捕まったという感じだろう」。
逮捕に至った以上、起訴は避けられそうもなく、そうなれば対決の場は法廷へ移る。だが、立証のハードルは低いとは言い難い。
「独禁法違反の犯罪とはいえない」と地検を批判するのは、元検事の郷原伸郎弁護士だ。