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安東泰志の真・金融立国論

AIJ投資顧問2000億円消失事件の本質
規制強化は問題の解決にはつながらない

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第19回】 2012年2月29日
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 独立系の投資顧問会社・AIJ投資顧問株式会社が、主として国内の企業年金からの投資一任契約に基づいて預かっていた約2000億円の約9割を失ったと報じられている。この問題については、今後実態の解明が進むに従って、様々な論点が出てくると思われる。

 同社の運用実態が本当にそういう結果に終わっており、しかもそれについてのこれまでの開示が虚偽であったとすれば、言語道断であり、厳しく断罪されるべきものだ。しかし、それでもなお、筆者は現時点での新聞報道のトーンには強い違和感を持つので、敢えてこの件についての見解を述べさせて戴きたい。

新聞各紙の報道の特徴

 筆者がこれまで見た限りでは、新聞各紙の報道トーンは、おおよそ2月25日付日本経済新聞の社説の線で一致している。

 「……投資顧問業を育成する立場から、監督や情報開示の制度も再点検すべきだ。今回の年金消失の問題は、AIJだけでなく投資顧問業全体の不透明な側面を浮かび上がらせたからだ。投資顧問業は当局が免許を与える銀行とは異なり、原則として参入が自由な登録制をとる……」

 日経の社説は、この後、参入規制を緩めて情報開示や検査を厳しくするというこれまでの行政の方向を一応是認し、情報開示や検査を強化すべきという議論を展開するのだが、右に引用した部分の行間に滲むのは、わざわざ銀行と比較していることからも、過去の免許制から登録制への規制緩和の是非をも問うものであろう。

 事実、同日の日経新聞の報道によれば、民主党は3月1日に「年金の運用管理に関するワーキングチーム(仮称)」を立ち上げる方針であり、そのワーキングチームは、「投資顧問会社が以前は認可制だったが、規制の緩和で登録制になった点に注目している」という。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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