国の支援を受けて経営再建中だった半導体大手のエルピーダメモリが経営破綻した。負債総額は約4480億円に上り、製造業では過去最大の規模になる。資金繰りに行き詰まり、金策に奔走した末に訪れた“突然死”。国内唯一のDRAMメーカーを追い詰めたものは、何だったのか──。

昨年12月に銀行団が支援条件を示した通知書
Photo by Toshiaki Usami

 東京で初氷が観測され、この冬一番の冷え込みとなった昨年12月26日、資金難に直面するエルピーダメモリと、その生殺与奪の権を握っている経済産業省、日本政策投資銀行(DBJ)、メガバンクなど主要銀行4行、の三者による会合、通称「フォローアップミーティング」が開かれた。

 俎上に載せられたのは、エルピーダの再建シナリオだ。今期に巨額赤字を見込む中、東芝や米マイクロン・テクノロジー、台湾の南亜科技(ナンヤ)といった、他メーカーとの業務提携なしでは抜本策はあり得ないという認識で一致していた。

 ところが、である。肝心の会議で、三者ともリスクの“たらい回し”を始めたというのだ。

 すでに銀行団が提出した書面にはメガバンクが支援を続ける前提条件として、「DBJの支援枠組みが継続されること」などと明記されていた。

 一方、DBJ幹部は「当行としては、エルピーダから抜本的な再建策が提示されなければ、支援は継続できない」と繰り返す。

2009年に公的資金を投じて、再建を後押しした経産省
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 そして経産省幹部は「金融機関の融資の約束がなければ、エルピーダのバックアップはできない」との姿勢を崩さず、まさに“三すくみ”である。

 さらに、経産省幹部からは「金融機関の融資が付くのなら、どの再建プランでもいいですよ」との発言も飛び出したという。

 かつてエルピーダを救済したときに、その存在意義として掲げてきた“日の丸半導体”という大義名分は、もはやないも同然だった。