ANAグループのLCC(格安航空)、バニラ・エアとピーチ・アビエーションの2社が統合に向けた最終協議中であることが明らかになった。関係各所と調整し、近く発表する見込み。決断の裏には売り手市場の航空業界で、貴重な人材を有効活用したい思惑があった。(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

ピーチは地方空港を拠点化して新規就航を続けている(写真上)。対してバニラは国際線やリゾート路線の比率が高い。両社の強みをベースに新たな路線網を展開することが課題となる

 3月中旬、東京・汐留にあるANAホールディングス本社の会議室では、かんかんがくがくの議論が交わされていた。傘下のLCC、バニラ・エアとピーチ・アビエーションをどのように統合するかについて、最終協議が行われていたのだ。

 統合は1年程度をかけてバニラの事業を段階的にピーチに移管する。会議では具体的な統合スキームについて、会計処理における税務負担を抑える方法など複数のパターンを示し、検証が続いた。

 加えて両社の社員に対する配慮も議論の的に。バニラ社員にはブランドがなくなることへのショックが想定され、これをきっかけに現場系社員の離職が起きると統合の狙いが外れてしまうからだ。

 2社の融合なくしては統合の目的は果たせない。その目的とはLCC事業の収益最大化だ。ANAHDは2月、2018~22年度の中期経営計画を発表。LCC事業の売上高を対17年度比で倍増し、営業利益200億円(営業利益率11%)を目標に掲げた。従来の短距離路線の枠を超え、20年までに7~8時間圏内の中距離路線へ進出することも明言した。