適材をチームに引き入れる

この4種類のスキルを併せ持つスタートアップは、成功の確率が格段に高くなる。

ただ、すべてのイノベーションチームにこの4種類の人材が絶対に必要だというわけではない。

2人で始めた偉大なスタートアップもある。

その場合は、1人の創業者がいくつかの役割を負っている。

マーク・ザッカーバーグがいい例だ。

ザッカーバーグは優秀なプログラマーであり、ビジネスを完璧に理解している、その分野の専門家でもある。

しかもプロダクトのデザインにも優れている。

とはいえ、彼が1人ですべてをやったわけではない。

彼がチームを築き、そのチームが〈フェイスブック〉を目覚ましい成功に導いた。

僕たちのところにやってくるスタートアップにこうしたカギになるメンバーが抜けている場合、真っ先に「今すぐにこの穴を埋めてほしい。成功したかったら、立ち上げからチームに適材を引き入れるしかない!」と伝える。

僕が資金調達を助けた〈ロケットオン〉というスタートアップの例を紹介しよう。

ロケットオンはインターネットの仮想世界を運営するスタートアップだった。ユーザーがアバターを作ると、どのウェブサイトでもそれを使える。

グーグル、アマゾン、CNN、アダルト・スウィムなど、多くのサイトでそれができる。

友達とチャットしたり、ゲームをしたり、音楽を聞いたり、世界中のどのウェブページのニュースについても話し合える。

だが、3ヵ月にわたって投資家に売り込んだが、結局、投資には至らなかった。

すごくいいアイデアだったのに、どうして投資してもらえないのかわからなかった。

ところが、チームのカギになるメンバーが抜けていることにハッと気がついた。

プロダクトの責任者だ。

ベンチャーキャピタル(VC)が投資を見送っていたのは、そのせいだった。

彼らはそこに穴があると見ていたが、僕には教えてくれなかった。

その穴を埋めることを、僕は優先させた。

ちょうど運良く仕事を辞めた友人がいて、彼はその役目にぴったりの人材だった。

彼を経営陣に引き入れた翌日に、僕たちは一緒に投資家に売り込みに行った。

プレゼンの内容は前回と全く同じだった。

違っていたのは、新しい共同創業者が横に座っていたことだけだ。

最初のVCからは、説明を聞いた後で「パートナー会議にもう一度来てほしい」と言われた。

いい兆候だった。

次のVCは、プレゼンした日にその場で投資を決めてくれた。

適材をチームに引き入れれば、うまくいくという例だ。