メンバーがいればやる気が起こる

複数のメンバーがいることのもう1つの利点は、より多くの仕事をこなせることだ。

新しいアイデアを生み出すことは最初の1歩にすぎない。

大変なのは、そのアイデアが実際に望ましい成果につながると証明することだ。

チームで力を合わせれば、分析と検証のスピードを上げられる。

またメンバーがいることでやる気が起こるという面もある。

創業者が1人の場合、ある時点で壁にぶつかると、やる気を失ってしまいがちだ。

逆に、複数の創業者がいることで、やり続けなければいけないという気持ちになる。

ファウンダーズ・スペース社でもしょっちゅうそれを見ている。

不可能に見えることでも、チームなら闘いを続けようという気になる。

仲間をがっかりさせたくないからだ。

〈ハッシュプレイ〉がいい例だ。

ハッシュプレイは〈ツイッチ〉に似た仮想現実ゲームの配信プラットフォームを開発していた。

アマゾンに9億7000万ドルで買収されたツイッチは、ゲーム実況の配信プラットフォームだ。

同じことが仮想現実でもできるはずだった。

正直に言えば、最初、僕はあまり乗り気になれなかった。

VR版ツイッチの開発なんて、とても無理だと思ったのだ。

ただの動画配信とはわけが違う。VR体験には数々の技術的な難題があり、ハードウェアの制約もある。

それでも、チームは稀に見るほど優秀だった。

だから、僕はチームに賭けることにした。プロダクトに自信があったわけではない。

創業者が1人だったり、チームが優秀でなかったりすれば、おそらくこのスタートアップは跡形もなく潰されていたはずだが、メンバーは見事な働きを続けた。方向を転換し、実験を繰り返し、彼らに適したモデルを発見した。

数々の障害にぶつかりながら、彼らは今も前に進んでいる。

メンバーはみな命運を共にしている。それがチームの力だ。