経済ニュースをフォローしている人はご存知のとおり、「デフレ脱却」を目指す日本政府は、日本銀行と共同で「2%のインフレ目標」に関する声明を出しています。マクロ経済政策の教科書ではないので詳細は端折りますが、これは要するに「毎年2%程度でゆるやかに物価が上がっていくように、経済の舵取りをしていきますよ」という宣言です。

大まかに言えば、物価が2%上昇すれば、今年100円で買えていたものが、翌年には102円出さないと買えなくなります。これだけ聞くと、「ふーん、それはなかなか大変だな~」というくらいの印象かもしれませんが、2%インフレが長期的に実現した場合、何よりも痛手を被るのは預金で資産を持っている人です。

物価が2%ずつ上昇するということは、ひっくり返せば、お金の価値が約2%ずつ減っていくということです。つまり、インフレ率2%の環境下で、利回りがほぼゼロの預金口座にお金を放置することは、「マイナス2%の利回り」でお金を預けるという残念な行動に匹敵するわけです。

この場合、たとえば1000万円は、翌年には980万円、翌々年には961万円、……そしてこれが10年続けば、820万円の価値しかなくなります。
通帳に印字される残高は1000万円のままなのですが、実質的には180万円分の価値が消えてしまっているのです。

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政府が掲げている2%インフレが、ほんとうに実現するのかはなんとも言えません。
これが実現したほうが日本のためになると私は考えていますが、日本国内にもさまざまな意見があることは認識しています。

ただ、アメリカの中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)は、これまでインフレ目標を掲げて、アメリカ経済がある程度のインフレ率を維持できるように配慮してきました。