森友問題の背後に透ける「保守派の影響力」と「他国の政治介入」

 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書改ざんを巡り、与野党は、3月27日に当時財務省理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問を行うことで合意した。

 麻生太郎副総理・財務相は記者会見で、自らの書き換え指示を否定し、「理財局で行ったものであり、外部からの指示で行われたことはない」とも述べ、「責任は佐川にある」と断じた。麻生財務相のみならず、予算委員会で質問に立った自民党議員も、次々と批判の矛先を財務省ばかりに向けている。だが、今頃になって財務省を「スケープゴート」にしても遅すぎた(本連載第172回)。

 また、安倍晋三首相は予算委員会で、「書き換え前の文書を見ても、私や私の妻が関わっていないことは明らかだ」と答弁した。それならば、昨年2月の時点で言っておけば、財務省が公文書書き換えに手を染める必要などなかった。結局、今更財務省に全ての責任を負わせようとしても、「限りなくクロ」の印象は拭えなくなってしまった。

 世論の批判が高まる中、安倍政権は証人喚問容認に追い込まれてしまった。国有地が破格で売却されたことと、膨大な文書改ざんには多くの謎がある。証人喚問によって真実に迫ることが重要であるのは言うまでもない。しかし今回は、そのこととは少し距離を置きたい。

 この連載では、森友学園問題について最初に論考を書いた時、この問題が「安全保障問題化」するリスクを指摘していた(第151回)。現在、与野党、官僚、メディアの終わりの見えない「潰し合い」の様相となっているが、この問題が起きた時に考えたことに戻りたい。それは、森友学園問題を国際社会に広がっている2つのリスク、「ナショナリズム」と「外国による国内政治への介入」に位置づけて、「潰し合い」の背景にある、より本質的な問題を考えてみることだ。