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2012年3月13日
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木村盛世

現役キャリア技官が問う【前編】
根拠のない安全神話をふりまく
政府・厚労省の責任

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福島原発事故から1年。「収束宣言」「安全宣言」が出されたものの、いまだ収束したとはいいがたい状況にある。その間、政府はいったい何をしていたのか――。『厚労省が国民を危険にさらす』を上梓したキャリア医系技官の木村盛世氏に、政府・厚労省の危機管理の実態を聞いた。

原発事故に対して
たかをくくっていた日本政府

 福島原発の事故から1年が過ぎようとしています。その頻度は少なくなったとはいえ、いまだにメディアでは放射能汚染についての話題が尽きません。私のところにも一般の方からメールが届きます。

 2011年3月、震災と同時に起こった原発事故以降、政府は、原発の放射線漏れはメルトダウンのような重篤な状況にはなく、「健康にはただちに影響がない」という常套句を繰り返していました。

 これは本当なのでしょうか。

 実際は、1号基が炉心溶融を起こしていたことを5月に認めています。このことからしても、「ただちに影響を与えるものではない」という政府の意見をそのまま鵜呑みにできないのではないか、と思う方も多いと思います。

 いったい、発表されていることが本当であれば、なぜ人々はこんなにも不安になるのでしょうか。

 それは、政府が「事実」を発表していないからです。もっと正確にいえば、事故が起こったとき、政府がパニックを起こして、事故の重大性を十分に把握しきれなかった、ということになるでしょう。

 パニックを起こすと、理性的な判断ができなくなります。今回の事故は、日本だけでなく世界に大きな衝撃を与えました。それゆえ、社会のヒエラルキーの頂点である政府がパニックを起こせば、日本に住んでいる人のみならず、海外も不安になります。

 今回の事故のように、予期せぬ重大な事象が起こったとき、いかに迅速に情報を集め、対応を決めるか、というのが最も重要なことです。ところが、それができなかったのが、今回の日本政府です。

 わが国には、伝統的に(?)「臭いものには蓋をする」「寝た子を起すな」という文化があります。こうした考えは、今回のように国家の危機に際しては最も邪魔になる概念です。実際、今回の福島原発事故においても「市場に出回っている食品は食べても安全」という発表の直後、基準値を超える放射性物質が検出されるということが起きました。

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木村盛世

医師、厚生労働医系技官。筑波大学医学群卒業。米国ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院疫学部修士課程修了(MPH、公衆衛生学修士号)。優れた研究者に贈られる、ジョンズ・ホプキンス大学デルタオメガスカラーシップを受賞する。内科医として勤務後、公衆衛生の道へ。米国CDC(疾病予防管理センター)多施設研究プロジェクトコーディネイターを経て帰国。財団法人結核予防会に勤務。その後、厚生労働省入省。大臣官房統計情報部を経て、現在は厚労省検疫官。専門は感染症疫学。「TVタックル」などに出演し、厚労省内部から杜撰な厚生行政の実態を告発している。著書に『厚生労働省崩壊』『厚労省と新型インフルエンザ』(講談社)、『辞めたいと思っているあなたへ』(PHP研究所)などがある。


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