「そだねー」の商標出願は
利益独占が狙いではないのか?
平昌五輪で活躍したカーリング女子日本代表の「LS北見」。彼女たちの試合中の会話の様子から流行語になったのが「そだねー」である。この「そだねー」を、北見工大生活協同組合と菓子メーカーの六花亭が商標登録出願したことが話題になっている。
出願日は北見工大生協の方が2日間早いため、このまま問題がない場合は、北見工大生協に商標が認められることになる。日本の商標登録制度は「早い者勝ち」なのである。
さて、今回出願をした二者とも、公式発表を聞く限りは善意で出願をしたということだ。北見工大生協の場合、「利益はカーリングの振興に役立てるよう寄付するつもり」と述べている。そして商標を独占するつもりもなく、カーリング普及のためなら無償で使用を許可するそうだ。
当初、先に商標出願がなされた六花亭が北見ではなく帯広を本拠にしていることから、「地元でもないのになぜ出願?」と疑問が呈される局面もあったが、これも正しい行動だと私は思う。六花亭も基本的に、道内の企業に商標を自由に使ってもらう意図で出願したことを明言している。出願の理由はむしろ、道外の企業に商標をとられないためという防御の意味が強いのだ。
実のところ、北見工大生協が「そだねー」の商標出願で一番乗りだったかどうかはまだはっきりしない。関西には流行語が出た瞬間にそれを商標登録する会社があるからだ。「PPAP」も「モンスト」も「スマスマ」も「君の名は」も「立憲民主党」も、その会社から商標登録が出願されている。
もっともその会社の場合、年間1万件以上の出願をしながら、出願手数料を特許庁に支払わないため、大半の場合は出願が審査されずに最終的には却下されるという。その間に本来の関係者に「権利を譲りたい」という連絡が来たという証言もあるのだが、取引に応じなければそれで終わり、という話なのだろう。
それよりも困ったケースは、実際に商標が登録されてしまうケースだ。中国で日本の名産品が商標登録されてしまうという問題も起きているが、それだけでなく国内の大企業の間でも商標がトラブルになっているケースはたくさんある。