“夢のマイホーム”建て方で
相続税が大きく変わる!

 結婚し家庭を持てば、「いつかはマイホームを」と考える方も多いでしょう。特に高齢化が進むなか、新しい同居の形=二世帯住宅の建設を考える方が増えています。

 ところが、せっかく親孝行のつもりで建てた二世帯住宅が、相続の時に大きな問題を生む場合があるのです。

同じ家に住んでいるのに
「同居」が認められない

 相続財産には土地などの不動産も含まれます。中でも自宅は、遺された家族がその後も生活をしていく場所なので、相続時の負担を減らすために『小規模宅地等の特例』という制度があります。この制度を活用すると、240平方メートルまでの自宅を相続した場合、評価額が最大で80%まで減額されます。しかし、この特例を使うためには「同居をしていること」など一定の条件があります。

 だからといって「ウチは二世帯住宅だから特例を使える」と安心してはいけません。以下に挙げるのは、この特例に精通した税理士の先生から聞いた実話です。

 都内に住むKさん。親のために二世帯住宅を建てようと考えましたが、家族とはいえ、お互いのプライバシーは尊重したいという本音がありました。そこで、1階は両親、2階は自分たち家族が住むことにしました。2階へは外の階段から出入りできる作りにして、家の中にわざと内階段をつけないことで、互いのプライバシーが守られるようにしたのです(図1)。

「自分は一会社員だから」と安心するのは危険!<br />サラリーマン世帯にものしかかる相続税の大きな負担

 ところがこのケースでは、税法上、同居と認められません。1階と2階はそれぞれ独立した生活空間であるため、同居にはあたらないとみなされてしまうのです。したがって、相続が発生した際に『小規模宅地等の特例』が使えずに、Kさんは大きな損をしてしまったのです(まれにこのような構造の二世帯住宅でも、特例を適用できる場合はありますが、かなり手間がかかるとのことです)。

「内階段のあるなし」で税金が大きく変わってしまう!この事例のように、知らないと損をしてしまうことも多いので、マイホームを建てる際には注意しましょう。