代々続く富裕層が「資産を売らない」よりも大事にする“たった1つのこと”写真はイメージです Photo:PIXTA

富裕層を顧客とする業界で、よく言われていることがあります。それは、「資産家は3代目で崩れる」ケースが多いということ。なぜ3代目が鬼門となるのでしょうか。また、資産を代々守ることができている富裕層にある共通点とは。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)

富裕層の資産は3代目で崩れる?
その理由とは

「うちは先祖代々の土地を守ってきた。息子にも絶対に売るなと伝えてある」

 都内郊外の地主の70代男性がそう語ったとき、私はその覚悟と同時に、ある種の危うさを感じました。

 地主に限らず、起業家など資産家の家系を見ていると、度々思い出す言葉があります。

 資産を親が作り、子が守り、孫が食い潰す――。

 実はこの言葉通り、私の実務経験でも「3代目で資産が崩れる」ケースは少なくないのです。

 なぜ、資産家の家系は3代続かないのでしょうか。そして、どうすれば“続く家”になれるのでしょうか。

 起業して財を成した家系のケースを考えてみましょう。

 1代目は創業者であり、資産の築き手です。多少の運と、汗水たらした努力を元手に金を稼ぎ、「お金はありがたいものだ」という価値観を骨の髄まで知っています。豪放磊落(ごうほうらいらく)である半面、ケチな人が多いのはこの苦労を知っているからです。

 2代目は、その姿を見て育ち、「親が残した資産を守る責任がある」と理解しています。経営はするが拡大は控えめで、保守的な傾向にあります。

 しかし3代目になると、話は変わってきます。