東京オリンピックの喧騒が去った2020年、あなたはどんな生活をしているだろうか?
AIによってシンギュラリティは起きるか? ヒト以上にやさしいAIは登場するか? ヒトとAIはどう共存していくのか?
構想・執筆に2年、「愛」がテーマというエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。』が話題となっている。
ビットコイン、ブロックチェーン、ディープラーニング……正確な技術論と、その道の世界的権威の見解をもとに緻密に描いた作品で、SFではない、小説風の解説書というから注目だ。
実物通貨と仮想通貨、日常と非日常、ヒトとAIの境界線がどんどんなくなりつつある今、私たちはどうやって生きていけばいいのか?
AIは苦手というあなたも、これさえ覚えておけば、周囲から尊敬の眼差しを浴びるかもしれない。
2000年代中盤から「AI」と「IoT」を研究し続けてきた大村氏の特別寄稿をお送りする。
(構成・寺田庸二)

読唇術で人間に勝利!<br />AIの恐るべき動画認識は<br />ココまできている!

AIは画像だけでなく
動画も認識可

 第12回連載では、歴史的快挙とでも言うべき「Googleの猫」を紹介しました。
 これは、2012年の研究発表で、Googleの研究チームは、ディープラーニングという手法を用いて、YouTubeに投稿されたビデオの中から無作為に一千万枚の画像を取り出してAIに学習をさせたところ、「人が教えることなく、AIが自発的に猫を認識することに成功した」と発表したのです。

 これは、画像認識、言い換えれば「静止画」の話ですが、実は2016年になると、CBS Interactiveが「AIが読唇術で人間に勝った」という驚きのニュースを伝えています。

 この記事を読み解くと、Googleが買収した「DeepMind(ディープマインド)」が開発したAIは、読唇術で次のような結果を残しました。

 ディープマインドは、BBCのテレビ番組から約5000時間の動画をAIに自己学習させたところ、唇の動きだけから約50%の単語を読み取ったそうです。
 ちなみに、人間の専門家の正解率は約4分の1と、完全にAIに軍配が上がったことになります。