“忖度”を理解できなかった外国人が腑に落ちた「説明」とは先日、ビジネスで来日したアメリカ人に「忖度」の意味について聞かれたとき、筆者はどのようにそれを説明し、納得してもらったか(写真はイメージです)

「忖度」ってどういうこと?
意味がわからず怒り出すアメリカ人

 外国人にうまく理解してもらえない日本語というものがある。ビジネスで来日したアメリカ人が夜の会食の際に、「ところであの『忖度』というのはどういう意味なんだ?」と英語で訊ねてきた。

 昼間の会議のときに日本人の同僚が、ビジネスの交渉相手に「そこは忖度してほしい」とジョークで言い、その場が大笑いになったのを覚えていて、一体全体どんなジョークだったのかを理解したかったようだ。

 慌ててスマホで調べると「conjecture」(推測する)とか「guess」(言い当てる)といった言葉が出てくる。しかしそれを伝えても、アメリカ人の彼にはピンと来ないというのだ。きちんとしたアメリカの大学を出てグローバル企業でそれなりの地位にある人間が「わからない」というのは、何か根本的な文化の相違か意見の相違があるからに違いない。面白そうだということで、議論になった。

 それでまず、日本の国会で起きた議論を正確に伝えてみることになった。

「要は、9億5000万円の価値がある国有地を払い下げる際に、色々な国会議員が問い合わせをしてきたんだよ」

「何も要求したわけではないのか?」

「何も要求してはいない。とにかく問い合わせをしただけ。それから買い取る当事者も、総理夫人がこの土地を気に入っている話をした」

「総理夫人がそう言ったのか」

「いや、言っていない。それで役人は大物の名前がこれだけ出るのだからと8億2000万円値引きして、1億3000万円で売ることにした。これが忖度だ」