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吉田恒のデータが語る為替の法則

米国金利をデータで読む! 米ドル/円が
80円を割らず、85円を超えていく条件とは?

吉田 恒
【第199回】 2012年3月19日
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米ドル/円が80円を割り込む
リスクは小さくなった

 かねてから私が考えてきたように、誰の目から見ても、いよいよ米国金利が米ドルの行方のカギを握るようになってきたようです。

 そこで、今回は、「米ドルの運命を決める米金利の今後のシナリオ」について考えてみたいと思います。

 結論的にいうと、米国金利から見ても、米ドル/円は80円を大きく、長く割り込む可能性は低くなってきたと思います。

 ただ、85円を安定的に超えて、裏付けのある米ドル高・円安が展開するためには、FOMC(米連邦公開市場委員会)の時間軸効果の短縮ないし廃止といった、いわゆる金融政策の大転換が必要になってくると思います。

日米2年債利回り差、
米ドル高・円安80円正当化水準に

 今週、3月13日(火)に行われたFOMCを前後して、米国金利が軒並み急上昇しました(「資料1」参照)。

資料1

 これを受けて、日米金利差の米ドル優位も急拡大し、先行して展開した形となっていた米ドル高・円安を後追いするようになってきました(「資料2」参照)。

資料2

 それでも、すでに、一時84円程度にまで達した米ドル高・円安を正当化できる金利差ではまだまだありません。

 ただし、80円程度の米ドル高・円安がおかしくないような金利差までは拡大してきたと言えそうです。

 この「資料2」は、米ドル/円と一定の相関関係が続いている日米2年債利回り差のグラフを重ねたものです。

 これを見ると、つい最近まで、金利差は80円を超える米ドル高・円安を正当化するには至っていませんでした。

 その意味では、金利差という裏付けのない米ドル高・円安が、一転して80円割れへ急反落するリスクを抱え続けていたわけです。

日米金利差が米ドル高・円安
85円以上を正当化するには?

 しかし、FOMC後の米国金利の急上昇を受けた金利差拡大で、米ドルが反落しても、80円を大きく割り込む動きが、長く続くリスクはいよいよ小さくなってきたということです。

 ただ、さらに85円を超えて一段と米ドル高・円安が進む動きを正当化できる日米2年債利回り差での米ドル優位が実現するためには、単純に計算しても、15日現在0.4%を下回っている米国の2年債利回りが、0.7%以上に拡大する必要がありそうです。

 では、米2年債利回りが0.7%以上の水準にあったのはいつかといえば、2011年4月以前ということになります。もちろん、2011年8月FOMCで、ゼロ金利継続の具体的な目標を明示する「時間軸効果」を採用するかなり前のことだったわけです。

 その意味では、米国の2年債利回りがここから一段と上昇し、日米金利差が85円以上の米ドル高・円安を正当化できるようになるためには、時間軸の短縮ないし廃止が必要になってくるでしょう。

今後の焦点は、時間軸の短縮か、
時間軸明示の廃止か

 ここで言う「時間軸」とは、もちろん2012年1月のFOMCで決定した現行のゼロ金利政策を2014年末まで続けるとしたことです。

 この2014年末という「時間軸」を2013年へ短縮するのか、それともそもそもこのような時間軸の明示を廃止するか。

 今後はそういった焦点に移っていきそうです。

 それはまさに私がかねてから述べてきたようにFRB(米連邦準備制度理事会)が自らの金融政策判断が間違っていたと認め、大転換に動くということです。

 それをにらみながら金利差が一段と拡大する見通しとなったところで、85円を超える米ドル高・円安を裏付ける形での展開が見込めるようになっていくでしょう。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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