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ポスト・ビッグデータ時代の経営

20年前AIに敗れてから
チェスはどのように進化してきたのか

――人とAIとのマリアージュを考える

KPMGコンサルティング
【第5回】 2018年4月12日
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Hyun Baro(ヒョン・バロ)
KPMGコンサルティング Advanced Innovative Technology マネジャー

航空宇宙工学博士。過去約10年間データサイエンティスト・研究開発者として活躍。米国空軍とのプロジェクトで戦争偵察用ドローンとヒトの最適意思決定の研究開発リードし、韓国大手自動車メーカーで自動運転・EV・HEV研究開発の責任研究員を歴任。University of MichiganのAdjunct Research Scientist。学会・学術論文30編以上、特許10件以上。2017年より現職、先端技術を活用するビジネスコンサルティングに注力している。

 人工知能と人の能力を相互補完的にビジネスに適切に活用すれば、新たなビジネス価値を創出することができ、企業の業務に活用すれば、組織の潜在的能力を最大に引き出すことが可能になります。テクノロジーと人の特徴を適切に融合し、活用することのできる企業のみが、未来の市場のニーズに合致したサービスを提供できるとともに、長期的に競争市場で生き残ることができると考えています。

 2017年10月に米国ボストンで開かれたKPMG Data & Analytics Global Summitの招待講演者として登壇したKevin Kelly氏 (米国Wired Magazineの創立者)の発言で印象深いコメントがありました。

“AI is not possible without human in the loop”
(人がプロセスに含まれていなければ、人工知能は成り立たない)

 昨今のニュース等において、人工知能注1は人の作業の大部分を代替するようになる、といった「人は不要になる」といった論調を目にすることに慣れていると、この発言はまったく正反対のことを言っているように受け取ることもでき、本当なのだろうか?と、懐疑的な意見も生じます。ここで、この先端技術の権威が発した言葉の真意について考察してみましょう。

注1:意思決定を下す人間以外のコンピューター、機械、ロボットまたはソフトウェアの広い意味で使用する

 2016年度にGoogleのAlphaGoが韓国の囲碁チャンピオンを凌駕したことはみなさんの記憶にも新しいかと思いますが、西洋の囲碁であるチェスの世界ではGoogle創立前の1997年度にIBMのDeep BlueがチャンピオンKasparovに勝利しています。ある特定の分野の専門家が人工知能に敗北したといった内容は世間の注目を集めますが、この出来事以来約20年間、チェスがどのように進化して来たかはあまり注目されていません。

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