ドナルド・トランプ大統領が、自分の周囲を、自分と気が合い、忠誠心も高い側近で固める動きを強めている。特に、テレビに出ているコメンテーターたちを集めているのが特徴だ。外交・安全保障政策と経済政策、それぞれの要のポストを、テレビの解説者で埋め、競わせる布陣は、「リアリティーテレビ」さながらだ。諫言する部下を一掃し、強硬派ばかりを周辺に集めつつあるトランプ大統領の方向性は、不安定さを増している。(朝日新聞オピニオン編集部次長兼機動特派員 尾形聡彦)
トランプ大統領の発言を
“忖度”するホワイトハウス
「メキシコと米国の国境を守るため、軍を送る準備をしている」
トランプ大統領が米国時間4月3日昼過ぎの会見でこう語ると、ホワイトハウスの記者団の間で驚きが広がった。米軍には本来、国境警備を行って不法移民を逮捕するような“警察行動”をとるような役割は、ないからだ。
夜になってホワイトハウスは、トランプ大統領が国境に送ろうとしているのは「州兵」だと記者団に説明した。米国で州兵は、各州で災害に対処する役目を担っているほか、米軍の予備役の側面もある。州兵であれば、過去にもオバマ政権やブッシュ政権が、国境警備のために派遣したことがあった。トランプ大統領の日中の発言内容に合わせ、政権が為し得ることを急いでとりまとめた様子がにじんでいた。