「金利ゼロ」は資本主義の危機なのか。
確かに、利子を支払えるほど企業が利潤を上げられない状況を金利ゼロが表しているなら、資本主義は危機かもしれない。しかし、少なくとも日本の企業は1990年代後半以降の金利ゼロが続く中でも利益を上げ、内部留保を積み増してきた。
また、富裕層と呼ばれる資産家の金融資産も膨らみ続け、「持てる者」ほどより多くの所得を稼いでいる。
それでは、なぜ金利ゼロが生じているのか。
簡単に言えば利子を支払えるだけの利潤を上げられる企業が借金をせず、収益は人件費削減などで上げ、利潤は内部留保や株主などへの配当に回してきたからだ。一方で働き手は所得が伸びないうえ、低金利で預貯金の利子所得が激減した。
「金利ゼロ」のもとでも資本主義が“繁栄”しているのは、普通の人々の代償によるものなのだ。