巷では空前の牛肉ブーム!霜降り一辺倒から、赤身肉や熟成肉にも目が向けられ始めたようだ(写真はイメージです)

要約者レビュー

 日本で黒毛和牛といえば、高級で希少なイメージが強いかもしれない。しかし和牛には他にも3種ほど品種があるのをご存じだろうか。日本では肉用種の97%が黒毛で構成されており、その他の和牛のほうが圧倒的に珍しいという。なかには黒毛より高値で取引されている品種もある。それぞれに個性があり、味わいも違う。

『炎の牛肉教室!』
山本謙治、 224ページ、講談社、800円(税別)

 また昨今の牛肉ブームもあり、「A5ランク」という言葉をよく耳にするようになってきた。肉の値段は食肉格付けで決まる。だからA5ランクが最高級肉であることに間違いはない。しかし意外なことに、それは美味しさを評価したものではないという。

 本当に美味しい肉を見つけるためには、もっと多様な視点をもたなければならない。著者によると牛肉の味を決める要素には複数あり、それらの総合力で本当に美味しい肉が決まるとのことだ。

 日本の牛肉文化はまだまだ浅い。牛肉の調理法も限定的で、不人気部位が売れないという問題もある。これからは格付けにとらわれず、さまざまな牛の品種や部位を味わおう――本書『炎の牛肉教室!』を読み終える頃には、自然とそう思えてくるはずである。

 牛肉を楽しむための知識がふんだんに詰まった、味わい豊かな一冊だ。本書を携えながら、識っているようで識らない、牛肉の奥深い世界へ足を踏み入れてみてほしい。(Kintore)

本書の要点

(1) 黒毛和牛は日本でもっともありふれた肉牛だ。国内には他にも3種ほどの和牛がいる。一方でいわゆる「国産牛」はホルスタインなど、乳用種に由来するものがほとんどである。
(2) 食肉格付けの「A5」は美味しさの評価ではない。歩留まりがよく、サシ(脂)の割合が高い肉のことだ。この基準はもともと安い輸入肉に対抗し、国内の畜産業を守るために設けられた。
(3) 牛肉の味を決める方程式は「(牛の品種×えさ×育て方)×熟成」だ。格付けだけで肉を評価するのではなく、さまざまな品種や部位を楽しむ文化にしていくべきである。