Ms.BOPチームの「新興国ソーシャルビジネス」最前線
【第7回】 2012年3月23日
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槌屋詩野 [(株)日本総合研究所 ヨーロッパ 新興国&社会的投資リサーチャー]

BOP市場の開拓で
「起業家精神」を掘り起こす4つの変革 日本総合研究所ヨーロッパ新興国&社会的投資リサーチャー 槌屋詩野

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前回はアフリカ市場での起業家たちの夜明けについてご紹介した。今回はさらにBOP市場の開拓において、欠かせないキーワードとなる「起業家精神(アントレプレナーシップ)」について検討する。BOPビジネスの現場で、一人の農民や力なき女性を起業家へと変え、雇用創出するためにどのような苦労がなされているか。そこには4つのポイントがある。

 現在、日本でも、震災復興の現場において、様々な地元の方々のビジネスをサポートする動きが起きている。農家の方々や女性たちの収入向上を図るため、何かビジネスを始めよう、とモチベーションを高める苦労がされているが、分断されたコミュニティの中で、新たにビジネスを始めるのは至難の業である。

 実は、BOPビジネスの現場でも、私たちは全く同じ状況を目の当たりにしている。自然災害を受けたり、慢性的な職不足に悩んだりしている地域では、コミュニティが出来上がっておらず、人々はなかなか「起業家精神」を持つに至らない。それはその土地の人々の気質や地域の環境も影響しているが、やはりコミュニティ内のネットワークが分断されていると、会話も起こらず、人と人の交流が少ない。

 これは商売をする素地がないのと同様で、こうした文化の中ではビジネスをスタートしにくく、「起業家精神」を掘り起こすにはかなりの時間がかかる。これは、地域活性化の現場でも、会社の中でも、同様に見られる風景ではなかろうか。

 今回では、コミュニティが出来上がっていないBOP層の住む村々で、「起業家精神」をどのようにして掘り起こしていくのか、そこにポイントをしぼってお伝えしたい。これは東北震災復興の現場とも繋がるポイントになるだろう。

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槌屋詩野 [(株)日本総合研究所 ヨーロッパ 新興国&社会的投資リサーチャー]

つちや・しの/国際協力NGO勤務後、2006年東京大学大学院総合文化研究科修了、日本総合研究所創発戦略センター入社。環境事業立案、環境・社会的投資に従事後、多国籍企業の途上国におけるソーシャルビジネス研究を本格化。2009年よりイギリスに移り、世界中のプロジェクトを担当し、国際的に研究を続ける。『BOPビジネス入門―パートナーシップで世界の貧困に挑む』共著(中央経済社)他。


Ms.BOPチームの「新興国ソーシャルビジネス」最前線

日本で「ソーシャルビジネス」という言葉が紹介された当初は、海外から持ち込まれるカタカナ経営用語の一つというとらえ方をされていた。だが昨今話題になるソーシャル・ビジネスは、「地域社会やコミュニティが抱える社会的課題を解決する」という面だけではなく、「社会構造を根本的に変える」イノベーティブな発想も内包する。市場のルール自体を変えるチェンジメイカーだ。インド、中国内陸部、アフリカ、東南アジアにおけるソーシャルビジネスの最新事例を基に、日本総研の女性チームがその実体験と分析を紹介する。

「Ms.BOPチームの「新興国ソーシャルビジネス」最前線」

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