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森信茂樹の目覚めよ!納税者

消費増税議論(その8)
1997年の消費増税は本当に
税収減を招いたか?

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第23回】 2012年3月23日
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消費税率の引き上げが
経済の混乱につながった?

 消費税の議論が民主党内で大詰めを迎える中で、一部の議員や学者から、「1997年の経験から、消費税を引き上げても、所得税収や法人税収が落ち込むので、財政再建に逆行する」という議論が出されている。

 一定の政治的背景を持った議論であるにしても、客観的事実に基づかない(あるいは意図的に捻じ曲げる)議論は、社会保障・税一体改革を遅らせ、回復基調にあるわが国経済や株式相場に冷や水を浴びせるので、正しい議論を展開すべきである。

 まず、識者を代表して、竹中平蔵氏が月刊誌『Voice』3月号で述べている論点を整理すると以下のようなことになる。

 「一般会計税収は、97年の消費税引き上げ時に記録した54兆円を一度も上回っていない。このことは、マクロ経済の健全化、デフレ克服が無ければ、増税を行ってもその後の税収は減るという事実が、端的に示されている。」とし、「増税は日本経済をいっそう悪化させる大きなリスクがある」としている。

 確かに、97年の一般会計税収は、所得税19.2兆円、法人税13.5兆円、消費税9.3兆円、一般会計合計で合計53.9兆円である。そして、10年経過した07年の一般会計税収は、所得税16.1兆円、法人税14.7兆円、消費税10.3兆円、合計51.0兆円となっており、97年と比べると税収は2.9兆円ほど落ち込んでいる(表)。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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