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古今東西の映画を通じて、社会保障制度の根底にある考え方や、課題などを論じていく連載「映画を見れば社会保障が丸わかり!」。第9回は1979年製作の映画『あゝ野麦峠』を取り上げます。(ニッセイ基礎研究所准主任研究員 三原 岳)

主演は大竹しのぶ
舞台は長野県の製糸工場

 転職や転居、退職など人生の節目を迎えた人は、そろそろ新しい健康保険証を受け取った頃でしょうか。国民全員を公的医療保険に加入させる重要性や理念については、第8回「日本の『国民皆保険制度」の素晴らしさが分かる3本の映画』で取り上げたところですが、今回は公的医療保険制度の歴史を取り上げます。

 その原点を描写している映画が『あゝ野麦峠』です。一見すると、医療に無関係の話が続くと思われるかもしれませんが、最後までお読みいただくと、今の私たちの生活や意識とは全く異なる労働環境をベースに医療保険の原型が生まれたこと、そして私たちが恩恵を受けている制度になごりが見られることをご理解いただけると思います。

 映画は、明治期の製糸工場で働く若き女性たちを取り上げており、タイトルの「野麦峠」は岐阜県と長野県の境に位置する地名です。