トヨタとVW、「2大帝国」はなぜ協業するのか日野とVWは、商用車分野での協力関係構築に向けて合意した Photo:REUTERS/AFLO

ライバル関係にある
トヨタとVWが何で提携するのか

 トヨタグループの商用車メーカー日野自動車と、独フォルクスワーゲン(VW)の商用車統括会社であるVWトラック&バスが12日、提携に向けて緊急記者会見を行った。日野とVWトラック&バスは戦略的協力関係の構築に向けた合意書に調印。今後両社は「技術」「商品」「地域」の幅広い協業の可能性を検討していくとする。

「トヨタとVWが何で提携するの?」ーー。

 こんな疑問が会見に出席したメディアサイドから流れた。それというのもトヨタとVWは、リーマンショックからの立ち直りで世界の自動車覇権を競う関係にあり、かつ日本とドイツの国策もからんで、この自動車大変革時代をリードしていこうとするライバルだからだ。

 とはいえ、電動化・自動運転・コネクテッド・シェアリングなどの次世代技術への移行に向けて異業種との競合も激化する中で、トヨタ、VWのいずれもグループ体制強化とともに「個別の分野では協業していくことも必要」との判断で、柔軟に方針を転換するの流れが出てきたといえよう。

 折しもVWは、日本での日野とVWトラック&バスとの提携会見を発表した翌日の13日、ドイツのヴォルフスブルク本社でヘルベルト・ディース新社長が会見し、VWグループ傘下12ブランドを4組織に再編する計画を発表した。

 ディース新体制の下でVWグループは「新しいコンパクトな組織構造で、より速く効率的な意思決定や実行をしていく」とその方向の見直しを示唆した。

 トヨタは、ここにきて社内カンパニー体制の移行とともに子会社のダイハツ、日野のトップ交代で体制固めを進めている。同時に、デンソー・アイシンなどのサプライヤーとの連動やスバル・マツダ・スズキとの協業を強めてトヨタグループの強化を図っている。