「安倍政権の動向次第では、日本銀行の金融政策に変化が表れてくるかもしれない」。こういった見方が金融市場で増え始めている。
4月9日から、黒田東彦総裁の体制下として2期目の日銀金融政策がスタートした。安倍晋三首相が黒田総裁を再任し、副総裁の1人にリフレ派経済学者の若田部昌澄氏を任命したのは、超金融緩和策の継続を政権が望んでいることを明確に示している。
他方で、岸田文雄・自民党政調会長は3月下旬に「中小金融機関が大変厳しいし、景気循環のありようを考えると、いつまでもこの政策を続けることはできないと考える人が多い」「出口のタイミングを考えることが大事」(「朝日新聞」)と発言した。石破茂・自民党元幹事長も、「大胆な金融緩和も機動的財政出動も、未来永劫続くものではない」(英ロイター)と4月に語っている。
もし安倍首相3選の可能性が後退すれば、次期首相の有力候補の発言に市場はより耳をそばだてるだろう。中央銀行が超金融緩和策を正常化する際は、政治の後ろ盾が非常に重要になるからだ。