先日、日清食品「カップヌードルごはん」を初めて食した。同商品は2010年の発売であるから、いまごろ食べているようでは随分と遅れているな、と冷やかされそうだ。

「インスタントもの」は、割りと好きなほうである。ただし、その手軽さに慣れるためには、乗り越えなければならないハードルがいくつかある。

 筆者が初めて「カップやきそば」を食べたとき、お湯を捨てることを知らず、「やきそばって、こんな水っぽいものでいいのだろうか」などと勝手な感想を持った。次に食べたとき、直前にお湯を捨てることは学習していたのだが、お湯を入れたときにソースや青海苔などの具材も同時に入れてしまったため、お湯を捨てた後の「カップやきそば」は、何とも味気ないものになってしまった。

 だから、「カップヌードルごはん」が水を吸収して、ふっくらと炊きあがったときには、妙に感心してしまった。あの程よい「からさ」は、愛煙家にとっては「食後の一服」を満たすものだという。ただし、筆者は煙草を吸わないので、その一服にどれだけの感慨があるかはわからないが。

 ということで今回は、日清食品とJT(日本たばこ産業)を扱う。独占的競争市場で活動する日清食品から、独占市場の代表であるJTへの展開である。特に今回は、空疎な議論を展開する管理会計論や経済学の世界を、実務の世界に引き込むものとして、次の〔図表 1〕を作成した。

 この図表はJTの有価証券報告書に基づき、筆者自製の「原価計算工房Ver.6」を使って解析したものだ。その基礎理論は第1回コラム(ニッサン編)でも紹介したように、「指数関数法による固変(こへん)分解」または「準ニュートン法による固変分解」という筆者オリジナルによる。

 ときどき「きれいな分析結果や図表の描写が得られない」という不満の声を聞く。それは分析の前提となる経理処理が出鱈目であるケースがほとんどだ。

 出鱈目な経理処理をしていては → 分析結果も出鱈目になる。当然の因果関係である。ところが、原因(自社の経理処理)を棚に上げて、結果(計算構造)が「おかしい」という人の、何と多いことか。〔図表 1〕は、会計監査を受けた「適正な財務諸表」に基づくから作図できることを、最初に確認しておきたい。

 〔図表 1〕を読み解くには、「カップヌードルごはん」ができあがる程度の時間を要する。2012年度の、一般財団法人会計教育研修機構における教材にも供するものであり、以下で順を追って説明していこう。

日清食品にSCP分析
(タカダ式操業度分析)を適用する

 話のマクラに日清食品を持ち出したので、同社の決算データを用いて〔図表 2〕を描いてみた。