3月30日、消費税増税法案が閣議決定され、国会に提出された。いよいよ国会に舞台が移るが、どのような審議が行われるのだろうか。世論調査は消費税増税反対が圧倒的に多い。そうした世論を背景にして、野党は反対して、ねじれ国会では成立は困難と思えるだろう。そうした健全な常識がなかなか働かないのが国会だ。結論から言えば、すでに増税翼賛会は形成されている。

野田総理と谷垣総裁は
財務省が生んだ双生児?

 国会で期待したいは、民主党内の増税反対派だ。彼らは民主党内の事前審査で頑張り、消費税増税法案の一部修正させた。①増税ストップ条件でない名目3%、実質2%の明記、②再増税条項の削除、③歳入庁の検討であるが、残念ながら、その程度では増税の方向性はびくともしていない。

 法案は、その修正を含め民主党の増税賛成派が作っているので、法文上は増税のストップ条件にならないように書かれている。いくら反増税民主が都合のいい解釈をしても意味がない。野田民主ははっきりと条件でないと明言しているので、解釈論争をしても増税反対派に勝ち目はない。こうしたことは霞ヶ関では「有権解釈」といい、誰でも知っていることだ。

 なお、自民党から、修正への揺り戻し(①名目3%、実質2%の削除、②再増税条項復活、③歳入庁規定削除)がでてくるだろうが、これは争点を極小化させる陽動作戦だ。これらがなくなれば、財務省の100点満点の完勝であるが、別にあっても法案が通れば80点の勝利であることに変わりない。

 いずれにしても、民主党内の増税反対派は、残念ながら国会で活躍するのは無理だ。国会では、審議時間を十分とるために特別委員会が設置されて、消費税増税法案が審議されるだろう。しかし、その委員は、増税に賛成している民主党執行部が決めるので、反対派の出番は少なくなる。