民主党内の混乱が日増しに拡大している。消費税増税法案の閣議決定に抗議して小沢一郎氏系の4人の政務三役が辞任したのに続き、29人の議員が党の役職を辞め、総計で30人を越えるに至った。

 衆議院で53人が反対にまわれば、民主党単独の可決ができないというから、野田佳彦首相も気が気ではないだろう。

 ただ、政務三役の辞任が4人にとどまったところを見ると、小沢一郎グループの結束もそれほど固いものではない。おそらく、多くの議員が小沢氏と選挙民の間に立って悩んでいるのだろう。

消費税増税問題は「親小沢VS反小沢抗争」へ
しかし小沢支持はわずか37%

 今回の民主党内の抗争は、消費税増税に賛成か反対かという政策的側面と、親小沢か反小沢という権力抗争の側面の二面性がある。しかし、これを政策より権力の抗争が優先されていると見る人が意外に多いのである。

 この4月26日には、小沢氏の陸山会裁判に判決が下る。無罪判決の可能性が大と言われるが、そうなると小沢氏の党員資格停止が解除され、名実ともに小沢氏は反対派の陣頭に立つだろう。それは世論に微妙な影響を与えることになる。

 3月31日、4月1日実施の世論調査(毎日新聞)では、消費税増税法案に賛成する人が37%であるのに対し、反対は60%に達している。

 ところが、消費税増税反対の急先鋒である小沢氏らの姿勢を支持する人は30%に過ぎず、支持しない人が65%を占めているのだ。

 野田首相側からすれば、小沢氏が先頭に立ち、より過激に反対してくれるほどありがたいということになる。