「国の赤字が巨額」と言われながら経常収支が黒字の理由

 2017年度の国際収支統計が発表され、経常収支は21兆7362億円の黒字だった。日頃「国の赤字は巨額」と言われているにもかかわらず、「巨額の黒字?」と不思議に思ってしまうが、そこは混同せずにしっかり区別して考えよう。

「国の赤字」というのは、日本国の赤字のことではなく、「地方公共団体と対比した場合の中央政府の赤字」という意味であるのに対し、経常収支の黒字は文字通り「日本国」の外国に対する黒字なのだ。

 中央政府が赤字なのに日本国が黒字なのは、日本国の中の中央政府“以外”が大幅黒字だからだ。民間部門が巨額の黒字を稼ぎ、その分を中央政府や外国に貸し出しているのである。

経常収支は貿易、サービス
第一次、第二次所得収支の合計

 経常収支は、貿易収支、サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支の合計だ。

このうち第一次所得収支は、外国から受け取る利子や配当から、外国に支払う利子や配当を差し引いた金額、第二次所得収支は、主に途上国への資金援助の一部のことだ。

 貿易収支は、輸出から輸入を差し引いた金額。サービス収支は、サービス輸出からサービス輸入を差し引いた金額だ(詳しくは後述)。