2009年の松本晃会長就任以降、業績を急成長させたカルビーが踊り場を迎えている。松本改革の中身を検証するとともに、足元の課題を洗い出す。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)

  突然の発表に、関係者の多くが意表を突かれた。3月、カルビーの松本晃会長兼CEO(最高経営責任者)が突如として退任を表明した。松本会長はシニアチェアマンとして籍は残すものの、6月以降グループの経営は、伊藤秀二社長がCEOを兼務してかじ取りを行う。

 松本氏といえば、“プロ経営者”の先駆けのような存在だ。伊藤忠商事から、ジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人に転籍して社長を9年間務め、2009年にカルビーの会長に就任した。カルビーは松本氏の改革で、11年と比較して、17年の売上高は約1.6倍、営業利益率は4ポイント以上増加するなど成長著しい(図(1))。

 松本氏が行ったカルビーの改革は、端的に表すと「コストリダクション」に尽きる。当時のカルビーの課題は、国内シェアの伸び悩みと低迷する営業利益率だった。頭打ちだったポテトチップスの国内シェアなどを要因として、工場の稼働率が低迷し、固定費が利益を圧迫していたのだ。

 社内の利益への意識も低く、ポテトチップスやかっぱえびせんといったブランド力のある商品はあるものの、末端価格が高く消費者の離反も起きていた。