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カルビー松本晃会長に聞く「プロ経営者として結果を出せる理由」

小杉俊哉
【最終回】 2016年12月29日
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この連載では、プロ経営者がなぜ必要なのか、プロ経営者とは何か、活躍している若手プロ経営者はどのようにして成ったのか、そして起業においてプロ経営者を養成するか、について述べてきた。最終回である今回は、著名なプロ経営者として活躍しているカルビーの松本晃会長にインタビューを行った。

今までの経験が今の仕事にどう役立っているか?

――いわゆる「プロ経営者」と呼ばれる人の中でも、松本会長ほど目に見える成果を挙げている人は少ないと思います。ジョンソン・エンド・ジョンソン(以下J&J)日本法人の社長などを経て、2009年6月にカルビーの会長兼CEOに就任以来、6期連続最高益を更新中で、かつて利益率が1~2%台だった企業を、10%台の高収益企業に変身をさせました。さらに、今では15%を目指していますよね。それは「松本の魔法」とまで言われています。

 そこでは、今日は、松本会長がこれまでどのようにキャリアを重ねられてきたか、また「プロ経営者」としてどのような考えのもとに経営を行なっているか、お伺いしたいと思います。まず、いままでのキャリアで経験されたことが現在のお仕事にどのように役に立っていると考えていますか。

まつもと・あきら/京都大学大学院修了後、伊藤忠商事入社。ジョンソン・エンド・ジョンソン社長、最高顧問などを経て、2009年より現職 Photo by Kuniko Hirano

松本 私にとってラッキーだったのは、伊藤忠に入社して14年目に、当時赤字だった子会社の医療機器専門商社、センチュリーメディカルに出向したことだったと思います。社内のナンバー5くらいのポジションでしたが、実質的にナンバー2として営業の全てを任せられるという機会を得ました。本社にいたらそんな自由度はとてもなかった。

――出向は喜んで行かれたそうですね。

松本 はい、もう喜んで(笑)。ところが、業績を立て直したのに、5年経ち、6年目になっても本社から呼び戻されない。それで、会社を辞めようと思いました。45歳の時です。自分が世の中でどれだけ通用するか試してみたかった、というのを最初から考えていたこともありました。

――なるほど、それで、J&Jに入られたのですね。医療機器を前職で扱われていたから馴染みがあったのでしょうか。

松本 それもありますが、なによりJ&Jの広報活動が一流だと思ったからです。

――そこで、社長、最高顧問まで上り詰められました。相当に頑張った訳ですね。

松本 いや、J&Jは、何でも揃っている会社だったから、私がやることは大してなかったのです。

――いえいえ、それは謙遜でしょう。最初の6年間で売上を5倍にし、大赤字の会社を黒字にしたのですから。それで社長になったのですよね。

松本 約束したことの結果を出す。「コミットメント&アカウンタビリティ」、それをやっていればいいだけなんですよ。極めてシンプルです。余計なことはやらない。

カルビーの経営を引き受けたきっかけ

――J&Jの経営者としてかなりの実績をあげられたわけですが、その後、引退せずに、さらにカルビーに移って再建を引き受けられた理由は何だったのですか?

松本 2008年に、以前講演会で知り合ったカルビー創業家の松本雅彦さんから、社外取締役に招かれたんです。当時のカルビーは同族経営をやめて、株式上場を目指し、外資との提携、経営者を外部から招くということをやっていた、そんな状況でした。

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小杉俊哉

合同会社THS経営組織研究所代表社員、慶應義塾大学大学院理工学研究科特任教授、立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科客員教授。 1958年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、NECに入社。マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク、ユニデン株式会社人事総務部長、アップルコンピュータ株式会社人事総務本部長を歴任後独立。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授を経て現職。著書に『職業としてのプロ経営者』(クロスメディア・パブリッシング)等。


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日本人のグローバルにおける市場価値は非常に低い。人材の流動化促進により、プロ経営者を育てていくことがグローバル環境の中で日本の企業が発展するためにも必須ではないだろうか。企業側の視点で言えば、今の若者たちを「プロ経営者的発想」を持った人材として企業社内で育てることで、プロ経営者を招聘しなくても、社内から「プロ経営者」を出すことが可能になり、グローバル競争に勝ち抜く経営層を作ることができる。では、プロ経営者とはどのような経営者なのか。この連載では「プロ経営者という人材」について詳しく見て行く。

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