日銀は4月27日の金融政策決定会合で「展望レポート」を公表し、消費者物価指数の上昇率の見通しについて、2018年度はこれまでの1.4%から1.3%へ引き下げ、その上で、これまで「2019年度頃」としてきた「2%インフレ目標」の達成時期の具体的な時期を削除した。
これまで6度も達成時期を先送りしてきたので、さらなる目標達成の未達というリスクを避けたのだという解説が一般的だが、本当のところはどうなのか。新体制になって金融政策の議論の方向性は変わったのか。
違和感のある総裁の説明
物価目標は達成時期がセットのものだ
黒田総裁は会見で「削除」の理由を「市場の一部に2%を達成する時期の見通しが達成期限であるかのような誤解があり、時期の変更が金融政策の変更と結びついていると思われるおそれがあったため」と説明した。
だがこの説明には違和感がある。
インフレ目標は、目標数字と達成時期がセットになって、中央銀行のコミットメントを明示するとされている。この意味から、見通しであって達成時期でなかったという日銀の説明はおかしい。