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新興国の信用不安が主要国にも飛び火?
市場を凍りつかせる「金融危機の大連鎖」

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第113回】 2010年2月16日
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 2月上旬、一時世界の金融市場が凍りついた。それまで信用不安が囁かれていたギリシャに加えて、新たにポルトガルなどに対する信用不安の観測が本格化したからだ。

 それは、昨年発生した「ドバイショックの再来」と考えれば分かり易い。リーマンショック以降、国債を発行して景気刺激策を行ない、民間企業の債務の肩代わりを行なってきた、国の信用状態が怪しくなったのである。

 国債や民間企業の債務を肩代わりしてきた重荷が大きくなり過ぎて、「国が潰れてしまうかもしれない」という局面に追い込まれている。

 こういったデフォルト(対外的な債務不履行)不安が囁かれる欧州の国々は、PIIGS諸国(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)が中心となっている。

ギリシャやポルトガルの
信用不安は米英にも飛び火する?

 しかし、不安は欧州の新興諸国だけに留まらない。問題は、これらの国々が陥っている信用不安が、英国や米国へと連載していく可能性が、完全に払拭できないことだ。

 つい最近まで、世界経済、特に金融資本主義のトップに立っていた、アングロサクソン系の英国や米国にまで、PIIGS諸国の信用不安が波及するようなことがあると、そのマグニチュードは計り知れないほど大きい。考えるだけで、背筋が凍るというものだ。

 それが現実のものになると、株式や為替などの金融市場は、一時的に機能不全に陥ることが避けられない。世界的に株価が急落し、相対的にリスクの高い金融商品の売買はほとんどなくなってしまうだろう。

 それこそ、「金融危機の第2幕」が開くことにもなりかねない。もちろん、そのような恐ろしい出来事が起きて欲しいと思う関係者はいるはずがない。

 しかし残念なことに、主要国の信用不安、金融規制によるポジションの手仕舞い、さらには金融緩和策の出口が早まるといったマイナス要因が重なり、市場参加者の心理が一挙に冷え込むようなことがあると、金融危機第2幕の可能性は高まる。そのリスクは、まだ残っていると見るべきだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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