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田中均の「世界を見る眼」

北朝鮮“ミサイル発射失敗”後の3つのシナリオ
安全担保のために日本が持つべき「新たな覚悟」

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第7回】 2012年4月18日
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 4月13日、北朝鮮は国際社会の反対を押し切り、衛星打ち上げと称してミサイル発射を行なった。これは、ミサイル技術を使った実験の禁止をうたう2009年の国連安保理決議に違反するし、2月29日に発表された米朝合意にも反することは明白である。

 国連は4月16日、北朝鮮を非難する議長声明を発出した。関係国の間では、今後の対北朝鮮方針について検討が加速されるだろう。

 もし北朝鮮が、衛星打ち上げの失敗を対外的威信への打撃と捉え、さらなるミサイル実験や核実験に踏み切れば、国際社会との対峙は決定的となり、再び対決拡大の悪循環が始まることとなる。このような悪循環は北朝鮮の行動に起因するが、果たして北朝鮮は今後どのような行動をとっていくのだろうか。

「衛星」と称したミサイル打ち上げに失敗
今後の北朝鮮動向を占う「3つのシナリオ」

 3つのシナリオがある。第一は、金正日時代と同様にいわゆる「瀬戸際政策」をとっていく場合である。話し合いを行ない、一定程度まで解決の見通しを開いた上で、核実験やミサイル実験、場合によっては韓国への軍事的挑発を行ない、解決の「値段」を吊り上げるという手法である。

 このような手法は、特に金正日時代に顕著となった。金日成時代は韓国と真正面から対峙していたが、韓国が民主化し経済的にも大きく発展を遂げるに従い、もはや通常の手だてでは韓国との競争に負けることは明白となった。

 これが全面的戦争にならない範囲内での軍事的挑発や、韓国との比較優位を保つ上での核開発、ミサイル開発につながっていった。このような手法は、一面金正日の個人的な手法であった可能性も強い。近年の「先軍政治」は、まさに軍事を国内統治のみならず外交の手だてとして考えるということである。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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