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野口悠紀雄が探る デジタル「超」けもの道

新聞は紙面を4ページに減らし、
ウェブへのポータルに特化すべし

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第41回】 2008年9月22日
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 前回、「紙は扱いにくいから、新聞の定期購読はやめにして、ウェブで読めばよい」とか、「日本の新聞やテレビは、言葉の壁で守られているだけだ」と述べた。

 もちろんこれは、主張を明確化するために極端な形で表現しただけであり、実際にはそう簡単に割り切れるわけでもない。

 その第一の理由は、紙の新聞には、他のメディアには代替できない役割があるためだ。最大のものは、「見出し」が果たしている機能だ。

 たとえば先日、アメリカ第4位の証券会社リーマン・ブラザーズが破綻した。その日は、日本では新聞の休刊日だった(世界が転覆するかもしれないというのに、何ともノンキなことではあるが、その問題はここでは論じないことにする)。ニュース自体はウェブで知ることができたが、新聞が届くのを首を長くして待った。それは、このニュースがどの程度の大きさの見出しで報道されているかを見たかったからである。つまり、ニュースの内容そのものではなく、その評価を知りたいと思ったのである。

 この情報の提供は、一覧性がある紙の新聞以外には不可能なことだ。これは、重大ニュースに限ったことではない。他のニュースについても一般的に言えることだ。われわれは、「ニュースがどれだけの大きさで、どこに載っているか」を新聞が提供する最重要な情報として捉えている。

 この機能を果たすには、一覧性以外に、いくつかの重要な条件がある。最大のものは、評価主体に対する一定の信頼が確立されていることだ。新聞について悪口を言う人も、それを信頼し、評価している(限定はあるにしても)。また、テレビでは、複数のニュースを時間順に流すため、評価の違いを新聞ほど明確に表現することができない。雑誌記事に対する信頼は大きく、また一覧性もあるが、「雑誌に掲載されていないから重要でない」とは、普通は考えない。日々のニュースの重要度に関する評価は、人々が新聞に対して求めている最大の機能だ。

 身近なニュースで大きなニュースだと思っていたのに、新聞にはごく小さくしか扱われていない(あるいは掲載さえされていない)のを見て、意外に思うことがよくある。そうした場合、社会的な評価と自分の評価のずれを認識させられる。これは、役所で仕事をしていたときには、頻繁に感じだことだ(新聞報道されるようなことが身近で生じているからである)。

人々はローカルなニュース
を求める

 第二の理由は、人々は国境を超えたところで生じている出来事に関しては、さほど大きな関心を抱かないものだからである。人々は、ローカルなニュースを求めるのだ。少なくとも、海外のニュースよりは国内のニュースを求める(このことは、朝日新聞のMEDIA DATAなどの調査結果でも確かめられる)。だから、仮に言葉の壁がなかったとしても、日本人にとって日本のマスメディアの意味はある。

 このことを、私はカリフォルニアで1年間過ごして帰国したときに実感した。日本に帰ってから、アメリカのローカル紙を読もうという気にはならなくなったのである。カリフォルニアでは『サンノゼ・マーキュリー・ニュース』を定期購読していた。とくに「Roadshow」という道路交通に関するコラムを毎日読んでいた(これについてはこの連載の第23回や『週刊ダイヤモンド』の連載「超整理日記」でも書いた)。この記事は、日本からでもウェブで簡単に読むことができるのだが、日本に帰ってからは興味がなくなった。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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