プレミアムフライデーのPRイベントプレミアムフライデーのPRイベントにはせ参じた石塚邦雄・経団連副会長(左端)。活躍できる場面があって、よかった Photo:JIJI

「1回目のセールは豪雨、2回目は台風で効果が吹き飛んでしまった」──。ある百貨店業界関係者はこう振り返る。今夏はアパレル業界からの要請で、百貨店のクリアランスセールはスタート時期を6月と7月の各下旬に分散し、2回に分けて開催された。2回目の期間は、第4金曜日の「プレミアムフライデー」にかこつけたものだ。

 だが、日本百貨店協会が8月21日に発表した7月の全国百貨店売上高は、前年同月比6.1%のマイナス。冒頭の発言のように、2回の開催時期とも悪天候が直撃、さらに異例の猛暑もあって来店客が減った。加えて、例年は7月1日であるセールの開始日を6月末としたことで、セールの売り上げの一部が6月に算入されたことも影響したとしている。内訳を見ると、化粧品は好調だったが、主力の衣料品が1割強減少した。

 一方で、「6~7月の売り上げを合算すれば、わずかにプラス。悪天候をセールの2回開催が下支えした」(J.フロント リテイリング)との見方もある。

客のセール離れ進む

 かといって、百貨店の現場がセールの2回開催をそれほどありがたがっているわけではない。近年、セール商品の売り上げは減少傾向にあり、逆に「定価でも気に入った商品はよく買っていただける」(百貨店業界関係者)。そのためある百貨店は当初、夏から秋にかけて定価で売れる商品をなるべく確保しようとしていたところ、「アパレル側から突然、セール2回開催の要請があった」(前出の関係者)と冷めた声が漏れる。