Ms.BOPチームの「新興国ソーシャルビジネス」最前線
【第10回】 2012年5月1日
著者・コラム紹介 バックナンバー
渡辺珠子 [日本総合研究所創発戦略センター マネジャー]

「人財」を育てるソーシャルビジネス
巻き込み、受け入れ、貫く力を開発する 日本総合研究所創発戦略センター副主任研究員 渡辺珠子

1
nextpage

ソーシャルビジネスはNGOや国際協力ボランティアに携わっている人々が主体であるように思われがちだが、実は求められる能力は、企業がビジネスを推進する上で必要な能力とそれほど変わらない。むしろソーシャルビジネスを推進することで、企業が本来求めている人材を育成できる大きなきっかけになる。

ソーシャルビジネスは
こんな人を求めている!?

 ソーシャルビジネスを推進する人として、「どんな人が向いていますか?」と聞かれたら、真っ先に何を思い浮かべるだろう。私自身が企業の方々との会話で感じるのは、どうやら「NGOで働いている人」「ボランティアをしている人」「国際協力に興味のある人」と、利益を追求するビジネス社会で働く人々にすれば、ちょっとかけ離れた人たちがやっている、というイメージがあるようだ。

 新興国の中でも農村部や都市部のスラム地域など、通常のビジネスでは立ち入らないような場所に行き、そこに住む人々の観点からビジネスを創造していくというのが、ソーシャルビジネス立ち上げの主な考え方なので、確かにそういうイメージを持つことは十分理解できる。

 しかし、ソーシャルビジネスもあくまでもビジネスだ。実際に推進していく上でやっていることは、企業活動として普段やっていることと特に変わらない。むしろ企業がどういう仕組みで事業を進めているのかがわかっていないと、ソーシャルビジネスも推進できない。

 その上で、ソーシャルビジネスを推進するにあたって、必要な人材はどんな人かと聞かれたら、「巻き込み力」「受け入れ力」「貫く力」の3つの能力が備わっている人と答える。これは現場だけでなく、企業内でも必要な能力である。

1
nextpage

グローバル化 一覧ページへ

媒体最新記事一覧

渡辺珠子 [日本総合研究所創発戦略センター マネジャー]

わたなべ たまこ/名古屋大学大学院 国際開発研究科(国際開発専攻)修了後、メーカー系シンクタンクにて中国を中心としたアジア諸国のマクロ経済動向調査、ODA関連調査等に携わる。2008年に日本総合研究所入社。09年度に国際協力機構のBOPビジネス促進制度に関する制度設計に従事。現在、主に日本企業の新興国におけるソーシャル・ビジネス立上げを支援している。


Ms.BOPチームの「新興国ソーシャルビジネス」最前線

日本で「ソーシャルビジネス」という言葉が紹介された当初は、海外から持ち込まれるカタカナ経営用語の一つというとらえ方をされていた。だが昨今話題になるソーシャル・ビジネスは、「地域社会やコミュニティが抱える社会的課題を解決する」という面だけではなく、「社会構造を根本的に変える」イノベーティブな発想も内包する。市場のルール自体を変えるチェンジメイカーだ。インド、中国内陸部、アフリカ、東南アジアにおけるソーシャルビジネスの最新事例を基に、日本総研の女性チームがその実体験と分析を紹介する。

「Ms.BOPチームの「新興国ソーシャルビジネス」最前線」

⇒バックナンバー一覧