今年1月、三洋電機、パナソニック電工との事業統合を完了させた新生パナソニック。赤字が続く薄型テレビなど従来の家電分野から、環境やエネルギーといったBtoB領域に新たな成長を求める。ところが三洋電機を買収した“大義”の電池を中核としたエナジー社は、2011年度決算で赤字に転落する見通しで、早くも正念場を迎えている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 後藤直義)
「営業利益は“赤字”から、2桁(営業)利益率へと非常に高い目標です」
4月3日、大阪府守口市にあるパナソニックエナジー社では、2012年度の経営方針が発表された。伊藤正人社長が掲げた中期目標は、現在7000億円の売上高を15年度に約1.6倍の1兆円超まで引き上げ、赤字に沈んだ営業利益率を2桁に乗せるというものだった。
パナソニックが三洋電機との資本・業務提携を発表したのは08年11月のこと。8000億円の資金を投じた理由は、バリエーション豊かな「電池事業」の高い将来性にあった。
上図は、そうして生まれたエナジー社の商品ポートフォリオを、売上高の規模(円の大きさ)、成長性(横軸)、収益性(縦軸)の3要素で表したものだ。
商品群は手堅く稼ぐ「基盤事業」と、これからの成長が期待される「成長事業」の二つに大別される。
前者には、電動工具や非常灯に使われる「ニッカド電池」、小さなボタン形の電池や汎用乾電池など「一次電池」が分類される。規模拡大は望めないが、着実に10%前後の利益を上げている。