ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
今週のキーワード 真壁昭夫

相次ぐ「不況下のトップ交代」で、機能的なリーダーは誕生するか?

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第68回】 2009年3月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 「こういう時期こそ、強いリーダーシップが必要だ」

 有力企業の経営者の多くは、このように口にする。その通りだろう。景気の良かった時期は、経営者の器量に関係なく、自然体の経営姿勢でも、企業はそれなりの収益を上げることができた。

 ところが、昨年9月、世界経済の牽引役だった米国がコケた。それにより、景気はさながら崖から突き落とされるように悪化した。むろん、わが国も例外ではない。

 と言うよりも、わが国は輸出依存度が高いぶん、実際には他の主要国よりも大きな悪影響を受けている。稼ぎ頭だった自動車、電機、機械、鉄鋼などの機関産業は、現在、総崩れの状態だ。わが国の景気は、下り坂を転げ落ちるように悪化し続けている。

 しかも大きな問題は、今回の景気悪化局面においては、単なる通常の在庫調整ではなく、米国がコケるという「大きな構造変化=パラダイム・シフト」が起きているということだ。

 パラダイム・シフトが起きるときには、「今まではこうだった」という従来型の発想は通用しない。環境の変化に対応するためには、過去の成功体験に固執せず、新しい発想と柔軟な頭脳を持った人材が必要になる。それは、企業でも、国家でも同じことである。

 最近、トヨタ自動車やホンダ(本田技研工業)、ソニーなどの有力企業で、経営者の交代が発表されるケースが増えて来た(編集部注:ソニーでは、ハワード・ストリンガー会長兼CEOが、中鉢良治社長に代わり、自らが社長を兼務することを発表)。そうした現象は、現在の環境変化への対応策の1つとも考えられる。強いリーダーシップが発揮される組織は、変化の中でも生き残ることができるからだ。

 一方、旧態依然としたリーダーしかいない組織は、環境変化に対応できず、破綻に追い込まれる可能性さえある。

 今のような激動の時代には、「強くて有能なリーダーシップは、生き残りのために最も重要なファクター」と言えるだろう。そう考えれば、米国の政界において、オバマ氏が新大統領に選ばれたのは、相応の説得力がある。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


今週のキーワード 真壁昭夫

経済・ビジネス・社会現象……。いま世の中で話題となっているトピックス、注目すべきイノベーションなどに対して、「キーワード」という視点で解説していきます。

「今週のキーワード 真壁昭夫」

⇒バックナンバー一覧