捨てるに捨てられない――。そんなものが自宅に眠っていないだろうか。現在発売中の『週刊ダイヤモンド』9月22日号第一特集「新・価格の支配者 メルカリ」では、そうした“捨てられないもの”を、メルカリを使って上手に金に変え、メルカリ生活を楽しんでいる4人を紹介している。本誌で掲載した記事を、今回は特別オンラインでも公開する。

「こんなもの売れない――」
決めつけないことが第一歩

 「ねえ。このつぼ、メルカリで売れないかしら?」。坂本誠治さん(50代・仮名)の母親は認知症を患い、この夏に介護施設へ入った。母は遠方で一人暮らしをしていた。

 その実家を整理していると、亡き父が集めていた骨董品が山のようにあった。それを見た妻から、冒頭のように告げられた。妻は娘に勧められたのだという。

 「メルカリって若い女の子が流行の服やかばんを売ったりするんだろ? こんなカビ臭いもの売れないよ」。坂本さんは、妻の提案に苦笑いで返した。

 メルカリのユーザーは、若年層の女性が中心。リアルのフリーマーケットにすら足を運んだことがないような“オヤジ世代”には縁遠く感じられるのも無理はない。

 しかし、メルカリでは、トイレットペーパーの芯や公園で拾った木の枝、無料でもらった割り箸などにも値が付いている。自分にとってはゴミ同然でも、他人にとっては価値あるものに変わるかもしれない。まさに“捨てる神あれば拾う神あり”なのである。