グーグルなどのITジャイアントの陰に隠れ、成長が止まった企業と思われてきたマイクロソフトが、急速に変わっている。その勢いは、一時後塵を拝したライバルを凌駕しつつあるのだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)

 今年“43歳の誕生日”を迎え、米IT業界では“中年”のマイクロソフトが、今日も過去最高値を更新し続けるものがある。株価だ。9月21日に一時付けた115ドルは同社史上最高値。ウィンドウズパソコンで市場を寡占した1990年代も、2000年前後のITバブル期も、この水準に達したことはない。

 そして今年5月。時価総額でマイクロソフトは米アルファベット(グーグルの持ち株会社)を抜き、世界3位に躍り出た。これまで米アップルと米アマゾンのみが超えた時価総額1兆ドルという大台に、マイクロソフトはグーグルより早く来年に到達するとみる市場関係者までいる。

 売上高1104億ドル、当期利益166億ドル、研究開発費147億ドル──。これらはグーグル、アップル、米フェイスブック、アマゾンの「GAFA」に匹敵する。さらにGAFAを凌駕するのがキャッシュフロー(CF)である。営業CFと投資CFを足し合わせたフリーキャッシュフロー(FCF)は378億ドル。これはアップルの2倍、グーグルの6倍、フェイスブックの9倍に相当する(図(1))。

 マイクロソフトはつい最近まで、かつての栄華を失って久しい、ぱっとしない企業だった。

 ウィンドウズを普及させ、黄金期を築いた創業者ビル・ゲイツ元会長兼CEOの後継として、スティーブ・バルマー氏が2代目CEOに就任したのは2000年。だが13年までのその任期中、マイクロソフトは冬の時代だった。CAGR(年平均成長率)は、売上高・営業利益・税引き前利益・当期利益の全てで2桁に届かない(図(2))。これらが全て30%を超えていたゲイツCEO時代はもとより、その時期に登場したグーグルなどのライバルと比べても、成長性に乏しい会社になってしまった。

 輝きを失ったのは事業でも同様だった。ウィンドウズで市場を制した90年代以降、マイクロソフトは新たに勃興する市場でことごとく敗北した。スマートフォンではアップルとグーグルに完敗。ノキアの携帯電話事業を買収したものの、全く太刀打ちできず再度売却する羽目になった。クラウドビジネスでは、アマゾンに4年もの後れを取り、先にシェアを寡占された。さらにSNSでも、フェイスブックに水をあけられた。