a三菱重工相模原製作所では最後の点検・梱包作業以外を自動化している。(左下)乗用車用のターボは両手のひらに乗るサイズだ

「ここまでの稼ぎ頭になるとは誰も予想していなかったんじゃないか」。三菱重工業関係者がほくほく顔で言う。

 というのも、車両過給機(ターボチャージャー。以下、ターボ)事業が絶好調だからだ。国内でシェアを争う三菱重工とIHIの2017年度のターボ事業の売上高は共に2000億円を超え、右肩上がりで成長している。

 ターボ事業の売上高の8割強を占めるのが自動車用ターボだ。ターボ搭載車は、エンジンのサイズを小さくしても出力を底上げできるので、燃費が良く排ガスの浄化もできる。その上、乗用車向けで2万円、軽自動車向けで1万円という低価格も手伝って、今や世界のガソリン車8000万台の約3割に搭載されている。

ツートップ入りには壁

 もっとも、自動車メーカー各社が軸足をガソリン車から電気自動車(EV)などの電動化車両へシフトしており、ターボの将来性を疑問視する声は多い。

 重工2社は、「ガソリン車の生産台数の伸びが鈍化しても、ターボの搭載率は15年から20年にかけて11%も上昇する見込みで成長余地がある」と反論する。また、三菱重工関係者も、「EV普及には時間がかかるので、あと15年は食える」と強気な姿勢を崩さない。