国勢調査の結果はまさに新マーケット発掘のための「宝の山」。しかし、あまりにもデータ量が膨大なため、数字が語るストーリーを見出すことは日常的に国勢調査を見ていない人には大変な苦労を伴う。
東京23区を例に最新の国勢調査データを分析し、新しいマーケットの開拓をめざす企画の第2回目は、「ひとり暮らし」世帯の動向に迫ってみる。
35歳以上の未婚者が集住
「独身天国」東京23区
税や年金、公共料金などが改定されるとき、「標準世帯で○○円の負担増」という記事をよく目にする。標準世帯とは、夫婦と子ども2人の家族を指す。東京23区でこうした「標準世帯」の割合はわずかに8.5%。夫婦と子ども1人(11%)のほうが多い。夫婦2人暮らしはもっと多くて16%。だが、これらが足元にも及ばない存在が控えている。ひとり暮らしだ。その数49%。何と、2軒に1軒がひとり暮らしである。
東京23区のひとり暮らしの割合を人口ベースに直すと25%。上述した世帯ベースより数値は下がるが、それでも4人に1人の高比率にのぼる。
トップは渋谷区の38%。新宿区、豊島区、中野区も35%を超える。逆に、葛飾区、江戸川区、江東区、足立区は16~18%台だ。渋谷区と葛飾区との間には2倍以上の開きがある(図1)。生活の「個人化」が突き進む山の手・副都心。家族のつながりを今も大切にする東部・下町。東京という枠組みではひと括りにできない街の個性が、ここにはっきりと表れている。
資料:総務省統計局「国勢調査」より作成
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